電脳戦略研究所
 人としての成功、ビジネスの成功など究極のビジョンを電脳の世界で実現し、リアルの世界で実践するための戦略・戦術の研究の場。 戦略と戦術の研究と学びの過程を軽く綴るブログ。
戦略研究第六章その六
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兵を形するの極みは無形に至る


 故ニコレヲ策(ハカ)リテ得失ノ計ヲ知リ、コレヲ作(オコ)シテ動静ノ理ヲ知リ、コレヲ形(ケイ)シテ死生ノ地ヲ知リ、コレニ角(フ)レテ有余不足ノ処(トコロ)ヲ知ル。 故ニ兵ヲ形スルノ極ハ、無形ニ至ル。無形ナレバ、則チ深間モ窺(ウカガ)ウコト能ワズ、智者モ謀(ハカ)ルコト能ワズ、形ニ因リテ勝ヲ衆ニ錯(オ)クモ、衆、知ルコト能ワズ。人ミナワガ勝ツ所以(ユエン)ノ形ヲ知ルモ、ワガ勝ヲ制スル所以ノ形ヲ知ルコトナシ。故ニソノ戦イ勝ツヤ復(フタタ)ビセズシテ、形ニ無窮ニ応ズ。

勝利する条件は

1戦局を検討して、彼我の優劣を把握する。
2誘いをかけて、敵の出方を観察する。
3作戦行動を起こさせて、地形上の急所を探り出す。
4偵察戦をしかけて、敵の陣形の強弱を判断する。

 先にも述べたように、戦争態勢の真髄は、敵にこちらの動きを察知させない状態
つまり「無形」にある。こちらの態勢が無形であれば、敵側の間者が陣中深く潜入したところで、何も探り出すことはできないし、敵の軍師がいかに知謀にたけていても、攻め破ることができない。
 敵の態勢に応じて勝利を収めるやり方は、一般の人にはとうてい理解できない。彼らは、見方のとった戦争態勢が勝利をもたらしたことは理解できても、それがどのように運営されて勝利を収めるに至ったのかまではわからない。
 それ故、同じ戦争態勢をくり返し使おうとするが、これは間違いである。戦争態勢は敵の態勢に応じて無限に変化するものであることを忘れてはならない。

水は上から下に流れ、氷になりて留まり、蒸気となって天(上)に帰る。

水を入れる器の形と大きさによって形を変えるが、器から出れば形はない。

真に水とはふしぎなものである。





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戦略研究第六章その五
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 故ニ戦イノ地ヲ知リ、戦イノ日ヲ知レバ、則チ千里ニシテ会戦スベシ。戦イノ地ヲ知ラズ、戦イノ日ヲ知ラザレバ、則チ左、右ヲ救ウ能(アタ)ワズ、右、左ヲ救ウ能ワズ、前、後ヲ救ウ能ワズ、後、前ヲ救ウ能ワズ。
 而ルヲ況(イワ)ンヤ遠キハ数十里、近キハ数里ナルヲヤ。吾ヲ以ッテコレヲ度(ハカ)ルニ、越人(エツヒト)ノ兵多シトイエドモ、マタ奚(ナン)ゾ勝敗ニ益センヤ。故ニ曰ク、勝ハ為スベキナリ。敵衆(オオ)シトイエドモ、闘(タタカ)ウコトナカラシムベシ。


 したがって、戦うべき場所、戦うべき日時を予測できるならば、たとえ千里も先に遠征したとしても、戦いの主導権をにぎることができる。逆に、戦うべき場所、戦うべき日時を予測できなければ、左翼の軍は右翼の軍を、右翼の軍は左翼の軍を救援することができず、前衛と後衛でさえも協力しあうことができない。まして、数理も数十里も離れて戦う友軍を救援できないのは、当然である。
 わたしが考えるに、敵国越(えつ)の軍がいかに多かろうと、それだけでは勝敗を決定する要因とはなりえない。なぜなら、勝利の条件は人がつくり出すものであり、敵の軍がいかに多かろうと、戦えないようにしてしまうことができるからだ。

ランチェスターの第一法則、「一騎討ちの法則」と同類である。
刀・槍の局地戦では一人の兵士は一度に一人の敵しか相手にできない。
20人対10人の戦いでは、10人を全滅させるには味方も10人倒され10人しか残らない。
ランチェスターの有名な第二法則は、近代兵器(機関銃や大砲など)を使った広域での戦闘は
双方の戦力比は初期戦力の自乗になるという強者の理論である。

孫子はたとえ敵の兵力に劣っていたとしても弱者の理論を駆使し敵を破ることも不可能ではないと説いているのである。

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戦略研究第六章その四
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今日は「十をもって一を攻める」


故ニ人ヲ形(ケイ)セシメテ我ニ形ナケレバ、則(スナワ)チ我ハ専(セン)ニシテ敵ハ分カル。我ハ専ニシテ一トナリ、敵ハ分カレテ十トナレバ、コレ十ヲ以ッテソノ一ヲ攻ムルナリ。則チ我ハ衆(オオ)クシテ敵ハ寡(スク)ナシ。ヨク衆(シュウ)ヲ以ッテ寡(カ)ヲ撃タバ、則チ吾ノトモニ戦ウ所ノ者ハ約(ヤク)ナリ。
 吾ノトモニ戦ウ所ノ地ハ知ルベカラズ。知ルベカラザレバ、則チ敵ノ備ウル所ノ者多シ。敵ノ備ウル所ノ者多ケレバ、則チ吾ノトモニ戦ウ所ノ者ハ寡ナシ。故ニ前ニ備ウレバ則チ後寡ク、後ニ備ウレバ則チ前寡く、左ニ備ウレバ則チ右ニ寡ク、右ニ備ウレバ則チ左寡シ。備エザル所ナケレバ、寡カラザル所ナシ。寡キハ人ニ備ウルモノナリ。衆キハ人ヲシテ己(オノ)レニ備エシムルモノナリ。

 こちらからは、敵の動きは手にとるようにわかるが、敵はこちらの動きを察知できない。これなら味方の力は集中し、敵が十に分散したとする。それなら、十の力で一の力を相手にすることができる。つまり、味方は多勢で敵は無勢。多勢で無勢を相手にすれば、戦う相手が少なくてすむ。
 どこから攻撃されるかわからないとなれば、敵は兵力を分散して守らなければならない。敵が兵力を分散すれば、それだけこちらと戦う兵力が少なくなる。
 したがって敵は、前を守れば後ろが手薄になり、後ろを守れば前が手薄になる。左を守れば右が手薄になり、右を守れば左が手薄になる。四方八方すべてを守れば、四方八方すべてが手薄になる。
 これで明らかなように、兵力が少ないというのは、分散して守らざるをえないからである。また、兵力が多いというのは、相手を分散させて守るからである。

相手に動きを悟らせず相手の動きは細部まで掴む。
戦は「情報」の格差をつけることで優劣が決まる。
さらに敵を受身にさせてこちらが主導権を握れば戦いはさらに有利になる。

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戦略研究第六章その三
孫子の兵法・虚実篇の三は

「虚(キョ)を衝(ツ)く」


 進ミテ禦(フセ)グベカラザルハ、ソノ虚ヲ衝ケバナリ。退キテ追ウベカラザルハ、速カニシテ及ブベカラザレバナリ。故ニ我戦ワント欲スレバ、敵、塁ヲ高クシ溝(コウ)ヲ深クストイエドモ、我ト戦ワザルヲ得ザルハ、ソノ必ズ救ウ所ヲ攻ムレバナリ。我戦イヲ欲セザレバ、地ヲ画(カク)シテコレヲ守ルモ、敵、 我ト戦ウヲ得ザルハ、ソノ之(ユ)ク所ニ乖(ソム)ケバナリ。


 進撃するときは、敵の虚を衝くことだ。そうすれば敵は防ぎきれない。退去するときは、迅速にしりぞくことだ。そうすれば敵は追撃しきれない。
 こちらが戦いを欲するときは、敵がどんなに塁を高くして堀を深くして守りを固めていても、戦わざるをえないようにしむければよい。それには、敵が放置しておけないところを攻めることだ。
 反対に、こちらが戦いを欲しないときは、たとえこちらの守りがどんなに手薄であっても、敵に戦うことができないようにしむければよい。それには、敵の進攻目標を他へそらしてしまうことだ。

※塁(るい)とりで

敵の「虚」を衝く、孫子はなかなか高度なことを要求なさる(笑)
敵の虚は必ずあるという前提であるが、それを見抜くものは「善く戦う者」に限られると言うのだ。

すなわち孫子の兵法をいくら学んだところで「善く戦う者」にならなければ駄目だと言うことなのだ。

巷では、ビジネスの成功は素質や才能ではないというが本当だろうか?
努力、忍耐、根性で成功するなら「兵法」などいらないことになりはしないだろうか?

全ての人が成功する(勝つ)ことはできないが、全ての人が(敗北)するわけではないのだ。

「必ず勝つ」という幻想に囚われず、負けない態勢を維持しつつ相手の失策を見逃さない。
逃げることも兵法であり、潔く散る精神では決して勝者になることはないのだ。


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戦略研究第六章そのニ
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虚実篇のニは「守らざる所を攻める」


 ソノ趨(オモム)カザル所ニ出(イ)デ、ソノ意(オモ)ワザル所に趨ク。行クコト千里ニシテ労セザルハ、無人ノ地ヲ行ケバナリ。攻メテ必ズ取ルハ、ソノ守ラザル所ヲ攻ムレバナリ。守リテ必ズ固キハ、ソノ攻メザル所ヲ守レバナリ。故ニ善ク攻ムル者ニハ、敵、ソノ守ル所ヲ知ラズ。善ク守ル者ニハ、敵 ソノ攻ムル所ヲ知ラズ。微(ビ)ナルカナ微ナルカナ、無形ニ至ル。神ナルカナ神ナルカナ、無声ニ至ル。故ニヨク敵ノ司命(シメイ)タリ。

 敵が救援軍を送れないところに進撃し、敵の思いもよらぬ方面に撃って出る。
千里も行軍して疲労しないのは、敵のいないところを進むからである。攻撃して必ず成功するのは、敵の守っていないところを攻めるからでである。守備に回って必ず守り抜くのは、敵の攻めてこないところを守っているからである。
 したがって、攻撃の巧みな者にかかると、敵はどこを守ってよいかわからなくなる。
そうすると、まさに姿も見せず、音もたてず、自由自在に敵を翻弄することができる。こうあってこそはじめて敵の死命を制することができるのだ。


守らざるところを攻める。
孫子の真髄は勝つことではなく「不敗」にある。
不敗とは勝っていないが負けてもいない。負けないでいれば訪れる勝機をものにできる。

 旧日本陸軍では「戦略は見えないもの、戦術は見えるもの」と定義されていたという。
企業経営でも社員に、戦術が見えなければ社員は動けない。

また「攻撃は最良の防御なり」という言葉をよく耳にするが、
これは、旧日本海軍の「海戦要務令」の記述で、

この原則が適用される「前提」は、敵の奇襲を受けたときの「特殊状況下」においてのみである。

防御より攻撃を重視するような戦略などは存在しない。


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