
兵勢篇その4は「激水の石を漂わすに至たるは勢なり」
激水ノ疾(ハヤ)クシテ石ヲ漂(タダヨ)ワスニ至ルハ、勢(セイ)ナリ。
鷙鳥(シチヨウ)ノ撃(ウ)チテ毀折(キセツ)ニ至ルハ、節(セツ)ナリ。
コノ故ニ善ク戦ウ者ハ、ソノ勢ハ険ニシテ、ソノ節ハ短ナリ。
勢ハ弩ヲ彍(ハ)ルガゴトク、節ハ機(キ)ヲ発スルガゴトシ。
せきとめられた水が激しい流れとなって岩を押し流すのは、流れに勢いがあるからである。
猛禽が狙った獲物を一撃のもとに打ち砕くのは、一瞬の瞬発力を持っているからである。
それと同じように、激しい勢いに乗じ、一瞬の瞬発力を発揮するのが戦上手の戦い方である。
弓にたとえれば、引きしぼった弓の弾力が「勢い」であい、放たれた瞬間の矢の速力が「瞬発力」である。
勢いに乗る、流れに乗る。
人の出来ることには限界がある。
一人ひとりの戦力差よりも全てのエネルギーを収束して一気に解き放つ。
机上で考えるだけではなく万全の体勢を取ったうえで、さらに機を見る、風を読むことが肝要であるのだ。
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